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ピロリ菌とはどういう菌なのか教えてください。 「ピロリ菌」とは正式には「ヘリコバクター・ピロリ菌」と言い、1979年にオーストラリアの学者により発見されました。以前から胃の中に菌が居ることは知られていましたが、菌を培養分離し、それを自ら飲んで胃炎を起こすことを発見したのです。3000年以上前のミイラの胃からも発見されており、人間が地球に誕生してからの付き合いだろうと言われています。(フリップ1) 「ヘリコバクター・ピロリ菌」は、おしりにある鞭毛をヘリコプターのように動かして胃の粘液を泳ぐことから命名されました。 (フリップ1) ピロリ菌が胃の中にいると何が問題となるのですか? 先ほどもお話したように当初は胃炎の原因として注目されました。 (フリップ2) 日本人には感染者が多いということですが、どのくらいの人が感染しているのですか? 日本人におけるピロリ菌感染率はおよそ5割、約6,000万人が感染していると考えられています。 (フリップ3) 予想以上に感染者が多いようですが、 ピロリ菌に特有の症状というものはありません。つまり100%胃炎を起こすからといって全員が痛みや胃もたれ、お腹が張る、胸が焼けるなどの症状が出るとは限りません。胃潰瘍や十二指腸潰瘍になって初めて症状が出ることが多いのです。また、もっとも重要な胃癌も症状が出るのは進行癌になってから、と考えておくべきです。 どのようにしたらピロリ菌に感染していることが判るのですか? ピロリ菌の感染は病院での検査によって調べることができます。検査には内視鏡を用いた方法と用いない方法の大きく2つの方法があります (フリップ4) 。内視鏡検査では胃の組織を採取して顕微鏡や薬を使って感染を調べます。一方、内視鏡を用いない方法には「尿素呼気試験」と血液や尿の「抗体検査」、便中の「抗原検査」があります。2013年3月からピロリ菌検査は健康保険の適用となり、その条件として内視鏡検査が必須となったことです。 内視鏡検査では胃の年齢=「萎縮の程度」が判る (フリップ5) ので、将来どの程度胃癌になり易いかが判定出来るとともに癌の早期発見が可能であるというメリットがあります。 (フリップ4) ピロリ菌に感染していると判った場合、どのようにすればよいのですか? もちろん除菌することをお勧めします。その理由は、除菌することで、将来胃癌を含め様々な病気になる確率を減らすことができます。 検査の結果、陽性だった場合の除菌はどのように行うのですか? 除菌は、3種類の薬を朝と夕の2回に分けて、7日間服用します (フリップ6) 。問題なく終了することが殆どですが、1割程度に下痢、稀に味覚異常や発疹などの副作用が出ます。その程度であれば服用は継続して頂きますが、腹痛や血便が出現した場合には直ぐに病院を受診してください。 (フリップ6) 薬を飲めば必ず成功するわけではないのですか? 残念ながら一次除菌で成功する確率は80%ほどです。除菌治療が終了して1〜2ヶ月後に判定しますが、不成功なら二次除菌を行います。二次除菌の成功率も80%ですので、一次と二次を併せた最終的な除菌率は96〜97%とかなり好成績です。三次除菌以降は自費診療となりますので、担当医と相談のうえ決めるようにしてください。 ピロリ菌への感染が心配な方は、検査を受けてみるべきですか? 胃癌やその他の胃の病気になる確率がゼロになるという訳ではありませんが、除菌が成功することで潰瘍の再発率が低下したり (フリップ7) 、胃癌の発生率を大幅に抑えることが出来る (フリップ8) との結果が出ていますので除菌するメリットは大きいと思います。内視鏡検査は決して楽な検査ではありませんが、睡眠薬を使って楽に検査する方法もありますので是非一度検査を受け、ピロリ菌の検査結果が陽性の方は除菌することをお勧めします。 (フリップ7) ![]()
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